We may just be able to touch down on the star

 昨年の自粛期間になんの気なしに始めたあるゲームソフトに大ハマりし、未だに周回プレイをしている。ペルソナ5(派生作品含む)だ。

 派生作品すべてふくめて何度もエンディングを迎えていることになるが、毎度のことながら虚脱感がすごい。ひとえにプレイ時間のせいだけではないだろう。ここに備忘録をつけることにする。プレイ順と状況は以下の通り。

  • ペルソナ5(以下、無印):2周プレイ、トロフィー8割
  • ペルソナ5スクランブル(以下、S):2周プレイ、トロコン
  • ペルソナ5ロイヤル(以下、R):1周プレイ(現在2周目)トロコン、アワード9割

 アニメは途中まで観たが違和感がすごいので断念した。ダンシングスターナイトは未プレイ。

 

 以下、ペルソナ5関連作品すべてにおいてネタバレがあるため、これからプレイする方等、ご注意されたい。

 

雑観と今の印象

【無印】

 Rプレイ前は2周やっても3周目できるくらいおもしろい!だったが、Rをやった後だと、納期に間に合わないからとりあえずプロトタイプをリリースしました?という印象になってしまった。それくらいRは戦闘システムを中心に操作性がグレードアップされている。今から5やるよという方がいたら、無印でできることは全部Rでできるので、無印からプレイする必要はないですよと必ずアドバイスする。

 Rの瞬殺のような仕組みがないので、序盤〜中盤はメメントスでひたすらエンカウント待ちするのだが、前半は敵に物理反射持ちもあまりいないのでとりあえず物理で殴るだけで、BGMもずっと一緒なので、申し訳ないながら、消音にしてまったく関係ない配信を聴きながらレベリングしていた。2周目終盤は、ひたすら花粉注意報のときに刈り取るものを絶望させて…しか勝たん。

 ペルソナシリーズの歴史がペルソナ4(無印)で止まっているわたしにとって、グラフィックや音楽含めクオリティやバランスが劇的な進化を遂げていることに心底驚いた。そして尋問のシーンから回送として4月から開始させるという刑事コロンボ方式も個人的に好きだし、わたしの普段の生活圏内である東京が舞台というのものめり込めたひとつの装置だったと思う。やっぱりアトラス作品だし一回は東京は危機に瀕しとかないとね。

 

【S】

 無印の続編で、怪盗団が日本一周してひと夏を楽しく過ごすだけの楽しい約40時間。あくまで無印のスピンオフという立ち位置なので、Rしかプレイしていないユーザには違和感があるようで、無印やっといてよかったのはこの点か。全編通して無印やRほど重厚なストーリーではないので、心穏やかに楽しめるところが一番の長所。自粛期間中だったので、小旅行に行けたような気持ちになれたのもポイント。

 無印でキャパオーバーで掘り下げられなかった春や祐介のパーソナリティがより深く理解できたというか、敵キャラに共感することでまた自分にも向き合い、それを乗り越えていくという構図にペルソナの系譜を感じた。またソフィア、善吉、一ノ瀬も非常にいいキャラクターで、特にソフィアと善吉はP5派生作品通して5本の指に入るくらい好きになってしまった。善吉が各キャラを「佐倉」や「新島」など苗字呼び捨てで呼ぶのが、個人的には非常〜〜〜〜〜〜〜〜に好き。ほんとうにSだけの登場が心底もったいない。

 トロコン難易度は全体的にそこそこでありつつ、一番の難関は言わずもがなBANDコンプだと思うが、EASYでアリスのエイガオン→1more→エイガオン→1more→エイガオン→1more→エイガオン→総攻撃の繰り返しでメタトロンを倒しまくる作戦で決行。20時間以上かかったがなんとか達成した。途中からは、こんなに何度も召喚されては倒されるメタトロンってどんな気持ちなんだろう…と心が痛くなることもあったが、トロコンのためだから仕方ないね。

 ところで無印からずっと気になっているのだが、BANDといい無印ないしはRでのジョーカー殺害作戦の解説のときといい、この絵を描いているのは誰なんだろう?本編で鴨志田への予告状書いたのが竜司で、それ以外に絵を描いているイメージが祐介以外にいないので、竜司だろうか。攻略本等関連書籍を購入していないので、そのあたりに言及されているのだろうか。

 

【R】

 バトルの楽しさが4割増し。バトンタッチがより効果的になるシステムで、それによって倒すべきボス戦が多いのは、この作品の真ん中を通る軸に通ずる部分だと思う。そして「瞬殺」の有用さ。

 ダンジョンは無印よりこなしやすくなったが、イシ探しが加わったのでボリュームは逆に増えたように感じる。操作性は快適だし全書の引き継ぎがあるといえ、周回がまあまあしんどい。

 しかしシリーズすべてにおいてすごくいい音楽が、さらなる名曲をひっさげてやってきたのでたまげた。colors flying highなんて、OPに応援歌っていうセンスには脱帽せざるをえない、しかもめちゃくちゃいい曲。そして3学期関連の曲はどれもせつない。初見突入時にI believeがながれたときは、あまりにおあつらえ向きすぎて、最初しばらく聴き入って動けなかった。また、メメントスの3学期エリアのBGMが今までの総復習のような作りになっていて、ほんとうによくできてんな〜という感想。

 明智については、コープが任意になった代わりに彼を理解するイベントが作られたことで、明智像に厚みが出て、無印ではあまり興味がなかった彼に対して、3学期を得てようやく「こいつも根っからの悪いやつじゃなかったんだよな」と思うことができた。ファンの方に失礼ではあるが、無印の展開だといまいち共感できないありがちな悪役としか思えなかったのは、わたしの洞察力が甘いだけだろうか。

 3学期のよかった点はもうふたつある。ひとつは、マルキパレスに挑むとき、彼らははじめて、世直しではなく自らの正義のために戦うと宣言する。これ、聖杯戦もそうだったのでは?とは思いつつ、人から求められたことではない、自分たちの意志を貫くための戦いをする。「反逆の意思」というのが作中キーワード的に何度も登場するが、一番しっくりくるのはこのときだ。からの「I believe」はシビれましたわ。

 ふたつめは、芳澤すみれのコープだ。彼女がRにとってキーキャラであるのはメインビジュアルや作中での扱いをみても明らかだが、個人的に好ましかったのは、女性キャラのコープではLv9のあたりで恋人になるかならないかの選択肢があるが、女性のほうから明確に告白してきてくれるのはすみれだけだ。ヒーローが彼女にとって一対一で支えてくれた特別な存在であるのはその通りだし、劇中でもかなりピックアップして描かれているが、他の女性キャラについてもコープにおいて支える描写が描かれている。そこに大差はないように思うが、それでもそれを受けて好意をしっかり伝えてくれるキャラは芳澤しかおらず、他キャラはヒーローからの言葉を待つ姿勢だった。男を立ててくれているといえばいいのか。しかしなんだか、トータルして芳澤の潔さが圧倒的に勝った印象だ。結局、もらった本命チョコは芳澤の一個のみだ。

 と、ここまでつらつら書いたが、この物語の肝心な点は、結局丸喜の話に集約されると思う。

 

R:丸喜について

 丸喜とはなんだったのか?ひとことでいうと善人でしかない。不幸な善人で、諦めが悪い。この3要素が揃わなければこうなることもなかっただろうに。

 コープレベルをあげるごとに彼の思想に肉付けがされていく。それはヒーローの手助けの甲斐あったことに他ならず、Maxになると最終的には現実を捻じ曲げ、全員の「こうだったらよかったのに」をバチバチに叶えてしまう。善意だけで。

 「これは現実じゃない」と立ち向かうヒーローには、そりゃ彼の正義を貫く意味ももちろんあっただろう。しかし、コープがMaxにならなければ3学期の展開にならないことから、大きな動機の大半は丸喜への責任感だと思う。自分が与えた気づきが現実をねじ曲げ、ないはずだった現実をあると認知させる、大衆のゆるやかで幸福な脳死。それを享受する仲間のようすはメメントス最深部の囚人たちそのままであり、これが正しいわけがない、と立ち向かうのだが、ヒーローのようにブレない人間ばかりじゃない。逃げてもいいのはわかっている、でもだからこうなった、どうしたらいい、そんな思考の繰り返しだったのではないかと思う。このあたりの演出は、ギリギリと胸が締めつけられた。BGMが「So Happy World」というのもなかなか皮肉がきいていてしびれた。

 ヒーローと丸喜はビジュアルからも共通点があり、内心を共有する場面も多いので、思考のもとになる、立っている場所に大きな違いはないのかもしれないが、向いている方向は真逆だ。

 ヒーローは人のために自分を使うが、自分を粗末にはしない。いつだって勝てるように考え、一番効果的な場面で自分を使う。それが周りのためでもあることを理解している。

 丸喜は自己を犠牲にしてでも人に尽くす。たとえそれが無駄になっても、勝つことに意味があるのではなく過程が大切。

 思想が違う。どちらがよいということでもなく、どちらも多種多様な正義のうちのひとつでしかない。でも正義が世界を変えるので、結局戦わなきゃいけない。ラスボスが自己犠牲系カウンセリングおじさんとか、ほんとうにしてやられた。あらかじめネタバレをみていたので、1周目丸喜を倒しに行く時はバチバチに殴り倒す気で行ったが、いざ戦うとなると非常にしんどく、終わった後の虚脱感が壮絶だった。

 で、このおじさん、結局なにがしたかったの?はい、人助けです!イカれてますね。

 ちなみに、3学期は常に不穏な気持ちでこなすことになるのだが、1/1の夢の中の秀尽で蝶を追いかけるシーンが圧倒的に怖い。そしてまた、怖いのは、丸喜の作った現実受け入れEDも選択してみると、丸喜コープのBGMアレンジ版が流れ、聴いていないはずの「I believe」がクレジットに書かれているということ…

 

総括

 結局シリーズ計で400時間超プレイしたことになるが、時間をかけてプレイしてよかった。大変に楽しませていただきました。ひとつ心残りは、「豪血寺一族」がどうしてもクリアできなかったこと(3回目が鬼門すぎる)。

 善吉がSにしか出てこないのと、芳澤がRにしか出てこないのがもったいないので、ぜひP5RSもお願いしたい。で、どこかの都市で丸喜と再会……とかいかがでしょう。

 

シリーズMVP

【無印】新島真

ストーリー面でも性能面でも最後までお世話になりました。

顔グラは無印のほうが好き。Rはちょっと童顔に寄ったね。

【S】ソフィア・善吉

ソフィアのパンドラ覚醒は何回観ても鳥肌がエグい。大阪での通販利用時の「まいど、おおきに」が好き。

善吉は結局お人好し。京都ジェイルでの走り方がガチ運動音痴のそれでやたらリアルで毎回笑う。

【R】丸喜

彼のために目黒大明神があつらえた曲ではあるが、Throw away your maskがちょっとシャレにならないレベルであまりに似合いすぎる。

【全体】ヒーロー(主人公)

ビジュアルの点でも一強でした。

一貫して気の毒だったわけだが、10股したから仕方ないね。